CD発売中
もう2年前の話になりますが、中学生時代からの古い付き合いであるヴァイオリニストの大塚野乃子さんのCD録音にパートナーピアニストとして参加しました。
大塚野乃子さんはウィーンに留学経験があり、クライスラーやベートーヴェンはその時の経験が生きています。
さらにはラヴェルのツィガーヌやサラサーテのツィゴイネルワイゼンなど、ヴァイオリンの技術を満喫できる作品もあります。
どの曲も一度は耳にしたことがありながら聞き応えも十分にあるプログラムとなっています。
プログラムにあるベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第5番は個人的にとても思い入れがある作品です。
この5番は私が最初に勉強したベートーヴェンのソナタであり、初めてウィーンでリサイタルに出演した際にも演奏しました。
そしてなにより、今は亡き祖母がとても気に入っていた曲でした。自宅で練習しているとどうしても音が漏れてしまうのですが、祖母はそれをいつも楽しんでくれていました。
このCDができた時は既に祖母は天国に行っていましたが、きっと喜んでくれていると思います。 私にとっては特別な曲であり、全ての楽章・全ての音が愛おしいと感じます。
クライスラーについては、私はあの独特なワルツのリズムに対して苦手意識があり、ウィーンでレッスンを受けた際にも、「どうも違う気がする」と悩んでいました。このCDのプログラムにクライスラーの作品が含まれていることを知った時は内心一瞬尻込みをしたのですが、克服するチャンスが来たのだと思い挑みました。
結論から申しますと、結局本場のワルツには届いていないと感じています。でも、あの時の精一杯で演奏できたことはちょっと誇らしく思います。
「Light and shadow of Vienna〜ウィーンの光と影」ソナーレアートオフィより発売しております。