アンサンブルピアニストという職業:運命と出会い
アンサンブルピアニストという職業:運命と出会い
私はピアノが専攻だが、憧れていたのはいつも華やかなソロピアニストより、アンサンブルピアニストという職業だった。オーケストラと共に協奏曲を演奏したり、大きな舞台にピアノと自分だけで挑むピアニストは痺れるほどかっこいいと思う。だけど私がなりたいピアニスト像というのは、地味だけと職人気質で学者気質のアンサンブルピアニストだ。何気ないように見えるのに、中身がしっかり詰まっていて揺るがなくて頼りになる。そんなアンサンブルピアニストという職業に憧れている。
私が最初に衝撃を受けたのは、チャルダッシュという曲だった。ヴァイオリンの有名な曲で、伴奏は正直難しくない。しかしその演奏を観た時“あの後ろでピアノを弾いてる人をやりたい!”と思ったのだった。そこから伴奏というものに惹かれ、室内楽というジャンルを知り、アンサンブルピアニストという職業を知った。
メナヘム・プレスラーの演奏の衝撃
メナヘム・プレスラーという伝説的で偉大なピアニストがいた。彼はソロピアニストでもあり、素晴らしい教授でもあったが、私が彼の演奏を知ったのは晩年に行われたある若いヴァイオリニストとのデュオリサイタルだった。音色は美しく、演奏には説得力があり、経験と知識があってこその素晴らしい演奏だった。「特別なことは何もしていません」とでも言わんばかりのシンプルな演奏にも関わらず、凄みのようなものに圧倒された。ソリストをしっかりと支えて導いていた。“憧れる”というのにはあまりにおこがましいが、こんな魅力的な演奏があるのかとハッとさせられたことを今でも鮮明に覚えている。
母からの影響
そしてもう1人、私に大きな影響を与えたのは他ならない、私の母である。彼女もピアノを弾いていたが、彼女もまたソロピアニストではなかった。彼女の専門はドイツ歌曲だった。そのため彼女は常にドイツ語やドイツの詩を勉強し続けていた。今ではほぼ引退している状況だが、それでも今だにドイツ語の勉強は続けている。私は母のおかげで、ピアニストとは1人で演奏するだけが仕事ではないということを知った。世の中にはアンサンブルピアニストという職業があることを知った。そして、音楽に携わっていくのなら“歴史・文化・言語”を重視すること、演奏する際には和声や構成を分析して理解する必要があることを教えてもらった。自然のなか、生活の中からたくさんのことを学び、五感や想像力を養うことの重要性を学んだ。
胎児の頃からの室内楽との縁
こんな話がある。母はベートーヴェンのピアノトリオ(ヴァイオリン・チェロ・ピアノ)で演奏会を控えていた。合わせ(個人練習ではなく、メンバーと共に練習すること)を数回終えた時のこと、母は体調不良に見舞われた。酷い怠さと胃の不快感だった。あまりに具合が悪く、一向に良くならないと思っていた矢先、妊娠が発覚した。そう、その時の赤子が私である。私は母のお腹の中でアンサンブルの楽しさを知ったのかもしれない。あるいは、ピアノトリオを降板せざるを得なかった彼女の悔しさを感じたのだろうか。
何にせよ、私はありがたいことに胎児の頃から室内楽と縁があったと思う。だからだろうか。私はずっと、室内楽の魅力に溺れているのである。アンサンブルピアニストという職業を愛しているのである。
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